これからの東京オフィス市況はどうなるか|空室率・賃料の見通しと仲介の戦い方

この記事の要点

2026年後半の東京は、オフィス空室率が歴史的な低さ(都心の大規模ビルで1%割れ)、募集賃料は10ヵ月以上の連続上昇、保証金も上がり、貸主が強い相場です。 ただ、品薄で移転先の選択肢が限られ、成約した面積は前年より大きく減っています。増床できずに今のビルに残る企業も少なくありません。 大型ビルの供給は2028〜2029年に集中し、中規模ビルの新規供給は当面細いままです。中規模のフロアを探すテナントには、しばらく厳しい状況が続きます。 仲介する側は、早く動いて1番手を取ることと、移転以外の選択肢まで提案できるかが問われます。

これからオフィス仲介を始める方から、「今の東京の市況はどうなっていますか」と聞かれることが増えました。

私は2015年から不動産仲介に携わり、オフィス専門の仲介会社で事務所・店舗の仲介を数多く経験してきました。 現在は独立し、これからオフィス仲介を始める方への伴走支援を行っています。 これまでの経歴は プロフィール にまとめています。

この記事では、2026年9月時点で公開されている調査データと、私が現場で見ている動きを合わせて、これからの東京オフィス市況を整理します。数字の出典は、三幸エステートとザイマックス総研の2026年の調査です。

景気の良し悪しにかかわらず移転理由が生まれるという賃貸仲介の性質は 不動産開業で賃貸仲介を選ぶ4つの理由 で書きましたが、その移転が今どう動いているかを、ここで具体的に見ていきます。

この記事で紹介すること

  1. 2026年後半の空室率・賃料・保証金の水準
  2. 「決めたいのに決められない」テナントで起きていること
  3. 2028〜2031年の供給見通しと、中規模テナントが置かれる状況
  4. 東京と地方で違う動き
  5. 厳しい市況で仲介が意識したいこと

2026年後半、東京のオフィス空室率は歴史的な低水準

三幸エステートの調査によると、2026年8月末時点の東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の大規模ビルの空室率は0.96%でした。1%を下回るのは2020年9月以来です。

東京23区全体でも、大規模ビルの空室率は1.4%台まで下がっています。2024年初めは5%前後だったので、2年ほどで大きく低下しました。

募集賃料も上がり続けています。都心5区の大規模ビルの募集賃料は、共益費込みで月あたり坪34,000円台まで上昇し、10ヵ月以上の連続上昇となりました。

保証金も同じ方向です。都心の大規模ビルでは、募集時の保証金が賃料の11ヵ月分を超える水準まで上がっています。

空室が少なく、賃料も保証金も上がっている。今の東京は、条件面で貸主が強い相場です。

決めたいのに決められない|成約は前年より減り、1番手争いになっている

成約した面積は前年より大きく減っている

空室率が下がっている一方で、実際に契約が成立した面積は増えていません。むしろ減っています。

三幸エステートの集計では、2026年8月に東京23区で成約した面積は前年の同じ月より4割以上少なくなりました。年の初めからの累計でも、前年を大きく下回っています。

理由は品薄です。移転したくても、条件に合う空きが出てこない。出てきても賃料が上がっていて、決断できない。

現場でも、この2つの相談が増えました。1つは、今のビルから賃料の値上げを求められ、それなら移転を検討したい、という相談です。もう1つは、長く増床を我慢してきた企業が、いざ動こうとすると今の相場の高さに驚いて決めきれない、というものです。

動けるテナントの間では「1番手争い」になっている

条件が折り合って動けるテナントの間では、良い区画の取り合いが起きています。

申込みがバッティングすることが増えました。1つの区画に複数の申込みが入り、先に手続きを進めた会社が決まっていきます。

同じビルの中で空きが出て、そのまま館内増床で決まるケースも増えています。外に良い物件が出てこないので、今いるビルの中で解決する、という動き方です。

仲介する側から見ると、いかに早く動いて1番手を取るか、そのために顧客の決断をどう早めてもらうかが、成約の分かれ目になっています。

供給の谷|大型は2028〜2029年、中規模ビルは当面細い

この品薄がいつ緩むのかは、新しいビルの供給スケジュールである程度読めます。

ザイマックス総研の調査では、2026年の東京23区のオフィス新規供給は約17.8万坪で、過去10年の平均をやや上回る見込みです。ただ、2026年から2029年の4年間で見ると年平均は過去平均を下回り、その約9割が都心5区に集中します。

大型ビルの供給は、2028年の大手町のTorch Tower、2029年の八重洲二丁目やTOKYO CROSS PARKなど、2028〜2029年に固まっています。それまでの数年間は、大きな供給が少ない状態が続きます。

さらに、延床3,000坪から10,000坪クラスの中規模ビルの新規供給は、今後4年の年平均が過去10年平均を下回る見込みです。中規模ビルは、これから数が増えにくい種類の物件です。

大型ビルが竣工すると、そこへ移る企業が出て、空いた区画が中規模のテナントに回ってきます。ただ、その循環には時間がかかります。2028〜2029年の大型供給が動き出して、2次・3次の空室が中規模フロアを探すテナントに届くのは、2030年前後から先になると私は見ています。

中規模のフロアを探しているテナントにとっては、しばらく厳しい状況が続きます。

東京と地方で、市況の景色は違う

ここまでは東京の話です。地方は、同じようには動いていません。

地方でも、県庁所在地の中心部など一等地は動きがあります。ただ、そこから少し外れると、事業用の区画がほとんど動かないという声を聞きます。

空いた区画に新しく入るテナントの顔ぶれも変わってきました。フィットネスや貴金属の買取店が出店するケースをよく見かけます。オフィスや従来型の店舗ではない業種が、空いた事業用スペースを埋めています。

東京23区の空室率や賃料の数字は、そのまま地方には当てはまりません。扱うエリアごとに、物件情報の集め方も含めて見直す必要があります。物件情報をどこから得るかは オフィス物件の探し方|アットホーム・レインズだけでは見つからない理由 に書きました。

厳しい市況でも成果を出す仲介とは

品薄で貸主が強い相場は、これからオフィス仲介を始める人にとって、決してやさしい環境ではありません。それでも成約している仲介は動き方が違います。

まず、スピードです。良い区画は1番手が決めます。物件が出た当日に案内の段取りを組み、申込みの必要書類を先に顧客と準備しておく。決断に必要な情報を早くそろえることが、成約の前提になります。

次に、移転以外の選択肢まで提案に入れることです。館内で空きが出ないか貸主に確認する、今のビルでの再契約の条件を引き出す、レイアウト変更で今の面積のまま人数を増やせないか考える。移転だけを前提にすると、動ける案件が限られます。

そして、賃料が上がっている前提で、相場を数字で説明できる準備です。近隣の募集事例を集め、貸主にも借主にも根拠を示せる状態にしておくと、上がった相場の中でも交渉が進みます。

私が行っている オフィス仲介の伴走支援 でも、今の市況に合わせて、案件の動かし方や貸主への相場の伝え方を一緒に組み立てています。現地を回りながらの対面指導も行っています。

東京オフィス市況についてよくある質問

東京のオフィス空室率が1%を切ったのは、いつ以来ですか?

三幸エステートの調査では、都心5区の大規模ビルの空室率が1%を下回ったのは2020年9月以来です。2026年8月末時点で0.96%となっています。

オフィス賃料はこれからも上がりますか?

オフィスビル総合研究所は、都心5区の募集賃料が今後3年間で約19.5%上昇すると予測しています。大型供給が2028〜2029年まで少ないこともあり、当面は上昇基調が続くとみられます。ただし景気や金利の動き次第で変わります。

これからオフィス仲介を始めるのは、市況的に不利ですか?

品薄で難しい面はあります。一方で、条件が折り合った案件は決まるのも早く、動きは活発です。スピードと、移転以外の選択肢まで含めた提案力があれば、成果は出せます。

移転を考えている企業に、今アドバイスするなら?

相場が上がっている前提で、早めに動くことです。良い区画は1番手が決めます。あわせて、館内増床や今のビルでの再契約も選択肢に入れて、社内で決められる体制を先に整えておくことをおすすめします。

地方でも東京と同じ動きですか?

同じではありません。県庁所在地の中心部などは動きがありますが、そこを外れると事業用の区画がほとんど動かないエリアもあります。東京の数字をそのまま地方に当てはめることはできません。

これからの東京オフィス市況と、仲介にできること

2026年後半の東京は、空室率が歴史的な低さ、賃料と保証金は上昇、貸主が強い相場です。ただ品薄で成約面積は前年より減り、増床できず今のビルに残る企業も多く出ています。

大型ビルの供給は2028〜2029年に集中し、中規模ビルの新規供給は当面細いままです。中規模のフロアを探すテナントには、2030年前後まで厳しい状況が続くと私は見ています。

こうした市況でも、早く動いて1番手を取り、移転以外の選択肢まで提案できる仲介は成約しています。厳しい相場だからこそ、動き方の差がそのまま結果の差になります。

今の市況でオフィス仲介をどう動かすか迷っている方へ

「品薄の中で案件をどう決めきればいいか」 「上がった相場を貸主・借主にどう説明するか」 という方は、現在の状況をお聞かせください。 現地を回りながらの対面指導も可能です。初回のご相談は無料です。

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この記事を書いた人

オフィス・テナント仲介を専門とする宅地建物取引士(業界歴10年以上)。開業・参入・展開の伴走支援を行っています。

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