不動産開業で賃貸仲介を選ぶ4つの理由

この記事の要点

これから不動産会社を開業する方にとって、賃貸仲介は比較的始めやすい事業の一つだと私は考えています。 自社で物件を購入せずに始められ、一度の契約から更新、管理、次の移転、紹介へつながることもあります。 一方、売買仲介と比べると1件あたりの報酬は小さくなりやすく、顧客や貸主との接点を自分から増やしていく必要があります。

これから不動産会社を開業する方から、「売買と賃貸のどちらから始めた方がいいですか」と相談されることがあります。

私は2015年から不動産仲介に携わり、住宅だけでなく、事務所・店舗の仲介も数多く経験してきました。 現在は独立し、これから賃貸仲介を始める方や、すでに不動産業を行っている会社への伴走支援も行っています。 これまでの経歴は プロフィール にまとめています。

その経験から、少人数で不動産会社を始めるのであれば、賃貸仲介は選択肢に入れてよいと考えています。

この記事で紹介する4つの理由

  1. 在庫を抱えずに始められる
  2. 案件が動く頻度が高く、経験を積みやすい
  3. 景気の良し悪しにかかわらず移転理由が生まれる
  4. 1件の契約が次の仕事につながる

賃貸仲介は在庫を抱えずに始められる

不動産会社を開業するときに考えておきたいのが、売上を作るまでにどれだけ資金が必要になるかです。

買取再販であれば、自社で不動産を購入するための資金が必要です。売却できるまでは物件を保有することにもなります。

一方、賃貸仲介では、仲介する物件そのものを自社で購入する必要はありません。

宅建業を始めるための準備や費用は必要ですが、案件を獲得し、借りたい人と貸したい人をつなぐことで売上を作れます。

顧客から物件探しの依頼を受けて契約まで進める方法もあれば、貸主から空室の募集を任せてもらい、借主を探す方法もあります。

私自身、独立してからも「物件を所有しなくても仕事を作れる」という特徴は、少人数で事業を続けるうえで大きいと感じています。

ただし、在庫を持たないことと、簡単に売上が上がることは別です。

物件を探している顧客か、入居者を探している貸主。そのどちらかとの接点がなければ、仲介する案件そのものが生まれません。

賃貸仲介は案件が動く頻度が高く、経験を積みやすい

賃貸仲介を長く続けて感じるのが、案件が動く機会の多さです。

住宅や事務所では2年前後の契約も多く、更新の時期になると、そのまま使い続けるのか、別の物件へ移るのかを考える機会が生まれます。

特に事務所では、会社の成長に合わせて何度も移転する企業があります。

最初は小さな事務所だった会社が、社員数の増加に合わせてもう少し広い事務所へ移る。その数年後、さらに人数が増えて再び移転する。

私も事務所仲介を続ける中で、以前対応した会社から再び移転の相談を受けるケースを経験してきました。

一度目の契約で関係が終わるのではなく、その会社が成長していく途中で再び声を掛けてもらえることがあります。

開業したばかりの時期には、案件を経験する回数もその後の仕事に影響します。

問い合わせを受け、希望を聞き、物件を提案し、内見し、申込みを受け、貸主と条件を調整して契約する。 この流れを繰り返すことで、顧客への聞き方や物件の提案方法も変わってきます。

賃貸仲介は景気の良し悪しにかかわらず移転理由が生まれる

事務所仲介では、会社の業績が良いときだけ移転が起こるわけではありません。

業績が伸び、社員が増えれば拡張移転が発生します。

反対に、会社の規模を小さくするときには縮小移転が発生します。固定費を下げるため、現在より小さな事務所へ移る会社もあります。

私がこれまで対応してきた企業でも、移転理由は「会社が成長したから」だけではありませんでした。

人員を減らした、複数の拠点を一つにまとめたい、現在の賃料負担を下げたい。こうした理由でも物件探しは始まります。

景気が悪くなれば、拡張移転は減るかもしれません。それでも、縮小や統合など別の理由で動く会社があります。

大人数を抱える会社であれば一定の売上を維持するのは簡単ではありませんが、少人数で仲介会社を運営するのであれば、景気が変わっただけで案件が完全に止まる仕事ではないと私は考えています。

住宅、事務所、店舗など、自分が対応できる範囲を少しずつ広げていくことで、案件の入口も増やせます。

今の東京の市況がどうなっているかは これからの東京オフィス市況はどうなるか|空室率・賃料の見通しと仲介の戦い方 にまとめています。

賃貸仲介は1件の契約が次の仕事につながる

私が賃貸仲介を続けてきて感じる魅力の一つが、1件の契約から人とのつながりが増えていくことです。

例えば貸主側では、一度入居者を決めたことをきっかけに、「次に空室が出たら、この部屋もお願いしたい」と声を掛けてもらうことがあります。

そこから更新を任されたり、建物の管理について相談されたり、別の空室の募集窓口を任されたりすることもあります。

借主側でも同じです。

事務所を契約した会社の社長から住宅について相談を受けたり、従業員の部屋探しにつながったりすることがあります。 「知り合いが店舗を探しているので相談に乗ってほしい」と紹介を受けるケースもあります。

1件の契約から生まれる仕事の例

  • 契約した会社の次回の移転
  • 更新や管理の相談
  • 貸主からの別物件の募集
  • 社長や従業員の住宅探し
  • 知人や取引先からの紹介

開業当初は、新しい顧客を毎回ゼロから探すことになります。

ところが、契約した顧客や貸主との関係が増えていくと、新規営業だけではない仕事の入り方が生まれてきます。

1件の契約を、その1件の売上だけで見ない。

契約後も関係が続くことで、数年後の仕事につながる可能性がある。この積み重ねは、賃貸仲介を長く続ける魅力だと感じています。

賃貸仲介で開業するときに知っておきたい注意点

1件あたりの報酬は売買仲介より小さくなりやすい

賃貸仲介では、数千万円の不動産売買を仲介したときと同じような報酬を、1件の契約だけで得る仕事ではありません。

そのため、1件の大型案件だけで年間売上を作るのではなく、複数の案件を動かしていく形になります。

反対に考えると、それだけ問い合わせから契約までを経験する回数は増えます。

開業後に仲介の流れを身につけていきたい方にとっては、この案件数が経験の蓄積にもなります。

案件獲得には行動量が必要になる

在庫を抱えない一方、案件は自分で作っていかなければなりません。

開業しただけで、物件を探している顧客や貸主から相談が入ってくるわけではありません。

私が現在行っている 賃貸仲介の伴走支援 でも、物件検索の方法だけを伝えるのではなく、顧客や貸主との接点をどう増やすかまで一緒に考えています。

三重県四日市市で行った研修では、実際に駅周辺を歩きながら空室を探しました。 募集看板があればその場で電話し、管理室があるビルでは管理会社や貸主へ空室情報を聞く方法まで行っています。

ネットで物件を検索できるようになるだけでは、案件は増えません。

顧客を開拓するのか、貸主から募集物件を集めるのか、それとも既存の人脈から不動産の相談を受けるのか。 開業前から「最初の1件をどこから取るのか」まで考えておく必要があります。

賃貸仲介で開業するときによくある質問

賃貸仲介は少ない資金でも始められますか?

仲介する物件を自社で購入する必要はありません。そのため、買取再販のように物件取得のための資金を用意する仕事とは性質が異なります。ただし、宅建業を始めるための準備や事務所などには費用がかかります。

賃貸仲介だけで売上を作れますか?

案件を継続して獲得できれば、賃貸仲介で売上を作ることはできます。ただし、1件あたりの報酬は売買仲介より小さくなりやすいため、自分がどの分野で、どのように案件を増やすのかまで考えておく必要があります。

賃貸仲介は住宅から始めた方がいいですか?

必ず住宅から始める必要はありません。法人とのつながりが多い方であれば事務所仲介、店舗事業者とのつながりがある方であれば店舗仲介など、自分の経験や人脈から入口を考える方法もあります。

売買仲介の経験があれば賃貸仲介もできますか?

不動産の知識は活かせますが、案件が動く速さ、物件提案の回数、管理会社とのやり取りなどには違いがあります。売買仲介から賃貸仲介へ広げる場合の違いは、別の記事で詳しく扱う予定です。

賃貸仲介を始めても案件が取れるか不安です。どう考えればいいですか?

開業する前に「最初の1件をどこから取るのか」を考えてみてください。顧客を探すのか、貸主から募集物件を集めるのか、既存事業の顧客から相談を受けるのか。資格や免許を取った後の営業方法まで決めておくと、開業後に動きやすくなります。

不動産開業で賃貸仲介を選ぶなら

賃貸仲介には、物件を購入せずに始められること、案件を繰り返し経験できること、景気の良し悪しにかかわらず移転理由が生まれること、1件の契約から次の仕事へつながることがあります。

一方、1件あたりの報酬は売買仲介より小さくなりやすく、案件を獲得するためには自分から動く必要があります。

私は賃貸仲介を「簡単に稼げる仕事」としてではなく、少人数でも始めやすく、経験と人とのつながりを積み上げながら育てていける仕事だと考えています。

賃貸仲介の開業や最初の案件獲得で迷っている方へ

「賃貸仲介で開業したいが、最初に何をすればいいか分からない」 「開業したものの、案件の取り方に悩んでいる」 という方は、現在の状況をお聞かせください。 初回のご相談は無料です。

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この記事を書いた人

オフィス・テナント仲介を専門とする宅地建物取引士(業界歴10年以上)。開業・参入・展開の伴走支援を行っています。

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