住宅仲介から事務所・店舗仲介へ広げるメリット

この記事の要点

住宅仲介の経験があるなら、事務所・店舗まで扱えるようになることで、相談を受けられる顧客層を広げられます。 問い合わせ対応、物件提案、内見、申込みなど、住宅で経験してきた流れを活かせる部分もあります。 一方、法人の移転理由や店舗ごとの設備など、新しく覚える内容もあります。

住宅仲介をしていると、お客様から住宅以外の相談を受けることがあります。

「会社の事務所も探せますか」 「知り合いがお店を出したいのですが、店舗も扱っていますか」

こうした相談が来たとき、住宅しか扱っていなければ、別の仲介会社へつなぐことになります。

私は長くオフィス専門の仲介会社で事務所仲介を担当してきました。 その中で、会社の代表者や従業員から住宅について相談を受け、住宅仲介にも対応してきました。 これまでの経歴は プロフィール にまとめています。

事務所から住宅へ相談が広がるケースを経験してきたからこそ、住宅仲介をしている会社が事務所・店舗まで扱えるようになる価値も感じています。

これから賃貸仲介そのものを始める方は、 不動産開業で賃貸仲介を選ぶ4つの理由 も参考にしてください。

この記事で紹介すること

  • 住宅仲介で身につけた流れを活かせる
  • 法人・経営者との接点が増える
  • 住宅・事務所・店舗を横断して相談を受けられる
  • 広げるなら事務所仲介から始める方法もある

住宅仲介の経験は事務所仲介でも活かせる

住宅と事務所では、扱う物件もお客様も違います。

それでも、問い合わせを受ける、希望を聞く、物件を探す、提案する、内見する、申込みを受けるという流れには共通する部分があります。

住宅仲介を経験している方であれば、この流れを一から覚え直すわけではありません。

変わるのは、聞く内容です。

事務所仲介では移転理由まで聞く

例えば、事務所を探している会社から「駅徒歩5分以内、50坪前後、坪単価○円まで」と言われたとします。

この条件だけでも物件検索はできますが、私はさらに「なぜ移転するのか」を確認していました。

社員が増えて席が足りないのか。会議室が不足しているのか。採用のために、現在より印象の良いオフィスへ移りたいのか。

同じ50坪を探していても、移転理由が違えば合う物件も変わります。

住宅でも「なぜこの駅なのか」「なぜこの間取りなのか」と聞くことはあります。 事務所では、その聞き方を会社の経営や働き方まで広げるイメージです。

条件に合う物件が断られたときも理由を聞く

私が事務所を提案するときは、該当する物件を何件も並べるだけではなく、 「今回の条件なら、○○ビルと△△ビルは特に見ていただきたいです」 と候補を絞り、理由も伝えていました。

それでも検討外になった場合は、 「○○ビルは伺っていた条件には比較的合っていると思ったのですが、検討外になった理由を教えてもらえますか」 と確認します。

すると、最初のヒアリングでは出てこなかった条件が見えることがあります。

駅からの距離を優先すると聞いていたのに、実際にはエントランスやビルの雰囲気をかなり気にしていた。 築年数を気にしていると思っていたら、来客時の印象の方が優先度は高かった。

お客様の反応を見ながら、次の提案を変えていきます。

住宅仲介で経験してきた一連の流れに、法人向けの聞き方を加えていく。 住宅から事務所仲介へ広げるときは、この考え方から入ると理解しやすいと思います。

事務所・店舗仲介を扱うと法人や経営者との接点が増える

住宅仲介では、個人のお客様と話す機会が中心です。

事務所・店舗仲介を扱うと、会社の代表者、総務担当者、出店担当者、店舗経営者など、これまでとは違う顧客層と話す機会が増えます。

扱う物件の種類が増えるだけではなく、今まで接点のなかった人と関係を作れることも違いの一つです。

私はオフィス仲介をしていた中で、会社の代表者や担当者から住宅の相談を受けることがありました。

例えば、事務所探しで関係を作った会社から、 「社長の自宅も探してほしい」 「社員が転勤してくるので、住む部屋を探してほしい」 と相談されるケースです。

反対に、住宅仲介をしている会社でも、お客様が会社経営者や法人役員であれば、事務所の移転について相談される可能性があります。

住宅のお客様だから住宅の話だけ、と決めてしまうと、その人が抱えている別の不動産相談には気づけません。

お客様が仕事ではどのような立場なのか。会社を経営しているのか。店舗を運営しているのか。

そうした会話から、住宅以外の相談が出てくることがあります。

住宅・事務所・店舗を横断して相談を受けられる

住宅仲介だけに絞らないメリットは、同じ種類の案件を増やすことだけではありません。

相談される分野そのものを横に広げられます。

私自身、事務所を契約した会社の代表者から住宅について相談を受けたり、従業員の部屋探しを依頼されたりしてきました。

また、事務所を探したお客様から「知り合いが店舗を探している」と紹介を受けることもあります。

逆方向も考えられます。

住宅を探したお客様が会社の経営者や役員で、その後にオフィス移転の話が出るケースです。

住宅、事務所、店舗を完全に別々の仕事として考えるより、「このお客様から今後どのような不動産相談が出る可能性があるか」と考える方が、相談を受けられる範囲は広がります。

分からない案件まで自分だけで抱える必要はない

住宅以外の相談を受けられるようになることと、すべての案件を自分だけで判断することは別です。

特に店舗では、飲食、美容、医療、福祉など、業種によって確認する内容が変わります。

自分だけでは判断できない内容なら、管理会社へ確認する、行政や関係機関へ問い合わせる、詳しい会社と組むといった進め方があります。

私も、分からない内容を推測だけで進めることはしません。

相談を受けたうえで、自社で対応できる部分と、外部へ確認する部分を分けて考えます。

「住宅以外は分からないので受けない」と最初から入口を閉じるのではなく、一度内容を聞いてから対応方法を判断する方が、仕事の可能性は広がります。

実際に店舗の相談が来たときに確認しておきたいことは 住宅仲介をしながら店舗の相談を受けたときに気をつけたいこと|確認すべき7項目 にまとめています。

住宅仲介から広げるなら事務所仲介から始める方法もある

住宅仲介から事業用へ広げる場合、いきなり店舗まで何でも扱おうとすると、確認する内容が一気に増えます。

店舗では業種によって、必要な設備や営業条件が変わります。

飲食店であれば給排水、ガス、電気、排気などを確認します。 美容、医療、福祉などでは、物件を借りられるだけでは営業できず、別の確認が必要になるケースもあります。

住宅から事業用へ広げたいのであれば、事務所仲介から経験を増やす方法もあります。

事務所の内見では室内の使い方まで考える

私が事務所の内見をするときは、面積や賃料を説明するだけではありませんでした。

何人で使う予定なのか。今後、社員は増えるのか。会議室はいくつ必要なのか。来客は多いのか。受付を設けるのか。現在の事務所では何に困っているのか。

こうした内容を聞いたうえで室内を見ると、 「この柱を境に会議室を作れそうです」 「受付をこちら側に配置すれば、社員と来客の動線を分けられそうです」 といった提案ができます。

三重県四日市市で仲介会社への現地研修を行った際も、実際の空室に入り、室内を案内するだけではなく、顧客の人数や使い方を聞きながらレイアウトを考える方法を伝えました。

住宅仲介でも、「この部屋ならベッドをここに置けそうです」「この間取りなら家具を配置しやすそうです」と話すことがあります。

事務所では、それが社員数、会議室、受付、来客動線などに変わります。

住宅で培った内見時の会話を捨てるのではなく、聞く内容を法人向けに変えていく。 そう考えると、事務所仲介への入口も見えやすくなります。

店舗仲介では、ここからさらに設備や業種ごとの確認が加わります。 事務所で法人対応に慣れた後、店舗へ扱う範囲を広げる流れでも問題ありません。

住宅仲介から事務所・店舗仲介へ扱う範囲を広げたい方向けに、 賃貸仲介の伴走支援 も行っています。 初めて受けた事務所案件のヒアリングや提案など、現在の案件をもとに相談いただくこともできます。

住宅仲介から事務所・店舗仲介へ広げるときによくある質問

住宅仲介しか経験がなくても事務所仲介はできますか?

住宅仲介で経験した問い合わせ対応、物件検索、内見、申込みなどは活かせます。 一方、事務所では移転理由、現在と将来の社員数、来客、会議室など、住宅ではあまり聞かない内容が増えます。 これまでの仲介の流れに、法人向けの確認を加えていく考え方が分かりやすいと思います。

住宅仲介と事務所仲介では物件提案も変わりますか?

変わります。 事務所では、広さ、賃料、駅からの距離だけでなく、なぜ移転するのかを確認した方が提案を組み立てやすくなります。 希望条件に合う物件を多く送るだけではなく、なぜその物件を勧めるのかまで伝えます。

事務所と店舗ではどちらから始めた方がいいですか?

住宅から扱う範囲を広げるなら、事務所仲介から始める方法があります。 店舗では業種によって設備や許認可などの確認内容が変わるため、事務所で法人へのヒアリングや物件提案を経験した後、店舗へ進む方法もあります。

事業用物件の知識が少なくても相談を受けていいですか?

分からない内容を推測で回答しなければ、相談の入口になることはできます。 自分で確認できること、管理会社へ聞くこと、行政や関係機関へ確認することを分けて考えます。

住宅仲介から事務所・店舗仲介へ広げる相談はできますか?

現在の住宅仲介の状況や、今後どこまで扱いたいのかを確認したうえで相談を受けています。 初めて事務所案件を受けたものの、ヒアリング、提案、内見、申込みの進め方に迷っているケースでも相談いただけます。

住宅仲介だけに絞らず相談できる範囲を広げる

住宅仲介の経験があるなら、その経験をゼロに戻して事務所・店舗仲介を覚えるわけではありません。

問い合わせ対応、物件提案、内見、申込みなど、これまで経験してきた流れを活かしながら、法人への聞き方や事業用物件の確認を加えていくことができます。

住宅だけに絞らず、事務所や店舗についても相談を受けられるようになると、これまでとは違う法人や経営者との接点も生まれます。

住宅から事務所へ。その後、必要に応じて店舗へ。 自社の経験に合わせて、相談を受けられる範囲を広げていく方法があります。

実際に長く事務所仲介をしてきた立場から見た、住宅仲介との具体的な違いは 住宅仲介と事務所・店舗仲介は何が違う?現場で感じる6つの違い で紹介しています。

住宅仲介から事務所・店舗仲介へ広げたい方へ

「初めて事務所の相談を受けたが、何を聞けばいいか分からない」 「住宅仲介に加えて、事務所や店舗も扱えるようになりたい」 という方は、現在の状況をお聞かせください。 初回のご相談は無料です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

オフィス・テナント仲介を専門とする宅地建物取引士(業界歴10年以上)。開業・参入・展開の伴走支援を行っています。

目次